うちの子は周りと比べて、ひとりで物事ができるようにならないんだけど大丈夫かしら…
落ち着きがなく集中力がない子どもについイライラして叱ってしまいます…
こんな悩みをお持ちのお父さんお母さん。
モンテッソーリ教育の「お仕事」に取り組んでみませんか?
モンテッソーリ教育では、活動全般を「お仕事」と総称しています。
お仕事は、日常の活動を通して子どもが持っている能力を引き出す力があります。
日常生活で大人が当たり前のようにやっている活動が、子どもの成長にとても重要なんです。
本記事では、身の回りのことやキッチンでのお仕事を中心に紹介していきます!
特別なものは必要ないので、すぐに実践できるものばかり♩
ぜひ参考にしてみてください!
- 一児の母
- モンテッソーリトレーナー
- 自宅保育でおうちモンテ実践中
お仕事をはじめる前の環境づくり
まずは、子どもがお仕事に集中できる環境を整えていきましょう!
3つのポイントをお伝えしていきます。
子どもの使いやすさに配慮する
子どもがお仕事に参加しやすくするために、使いやすい小さいサイズや軽量の道具を用意しましょう。
大人用の道具では思うように扱えず、できることもできなくなってしまいます。
今は100円ショップに小さいサイズの道具が豊富にあるので、子ども専用の道具を取り揃えてみてくださいね。
無駄のないシンプルな機能性のものを選ぶのも重要です!
周りを整理整頓する
子どもは視界に入るものに意識が移りやすいです。
おもちゃなどは片付け、テレビも消すようにしましょう!
また、いつもある場所にあるものがなかったりしても子どもは気になってしまうことがあります。
置くものの定位置を決め、整理整頓された環境を日ごろから意識することも大切です。
失敗に備える
子どもは、汚したり散らかしたり毎日いろいろな失敗を繰り返します。
もしも、飲み物をこぼしてしまったとき。
子どもが自分で飲み物を拭いておそうじすることができれば、失敗が成功体験に変わりますよね。
失敗を自己訂正させることは、成長するためにとても大事なことです。
子どもの手が届く位置に、ぞうきんやほうき、ちりとりなどを用意しておきましょう!
はじめのうちは大人が手伝う必要がありますが、やがてひとりでできるようになっていきますよ。
準備が整ったら、早速お仕事に取り組んでいきましょう!
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0歳のモンテッソーリ教育のお仕事
1歳のモンテッソーリ教育のお仕事
2歳のモンテッソーリ教育のお仕事
3歳のモンテッソーリ教育のお仕事
0歳のモンテッソーリ教育のお仕事
0歳は見るもの聞くもの触るもの、すべてが新鮮!
自発的な活動は少ないですが、あらゆるものに興味を持ち五感で吸収する時期です。
赤ちゃんは身近なものを見たり聞いたりしながら、学び深い興味を持つようになります。
日常生活を見せる
特になし
0歳~3歳頃は、見たものをそのまま吸収します。
日常生活でできるようになってほしいことは、積極的に子どもに見せるようにしましょう。
「見る」だけでも立派なお仕事のひとつになります!
子どもに見せたい日常生活の例
- 着替える
- 掃除をする
- ゴミを捨てる
- 料理をする
- くしで髪をとく
- 歯磨きをする
食べ物や植物のにおいを嗅ぐ
特になし
離乳食が始まると、赤ちゃんは匂いや味という新しい感覚を知るようになります。
食事を用意するときは、赤ちゃんに作った食べもののにおいを嗅がせてみましょう!
また、花や植物の匂いの違いを経験することで、身の回りにあるもの匂いに興味を持つようになっていきます。
食材に触れる
- 野菜やくだものなどの食材
さまざまな形や大きさの食材に触れるだけのお仕事です。
ごつごつしたじゃがいも、ざらざらしたにんじん、ぶつぶつしたきゅうり、つるつるしたりんご、冷たくて大きな大根…
手のひらで形や質感を感じながら感覚を研ぎ澄ませていきます。
スーパーで買ってきた食材を冷蔵庫に入れる前に少し触らせてあげてみてくださいね!
紙をビリビリ
- 新聞紙やチラシ
紙をビリビリに破く動作は、大人からするとイタズラのように見えますよね。
ですが、これも立派なお仕事のひとつです!
思い切り引っ張って引き裂いたり、指先で細かくちぎったり指の運動に最適です。
ビリビリ破れる音も聴覚の刺激になります。
新聞を丸めたものをボールにして遊んでもたのしいですね!
1歳のモンテッソーリ教育のお仕事
歩けるようになる1歳以降は、とにかく身体を大きく動かしたい時期です。
いろんなものに触ったり、物を持って歩いたり、散らかしたり…そんな行動も発達においてとても大事なこと。
思い切り身体を動かしながらお仕事に取り組んでいきましょう!
野菜を洗う
- ボウル
- じゃがいも、にんじんなどの野菜
水遊びが好きな子どもにおすすめのお仕事です。
大好きな水に触れながら野菜を洗うことは、子どもにはとてもたのしい作業です。
土のついた野菜であれば、汚れが落ちていく過程を感じられきれいになる達成感も得られます。
水をだしっぱなしで遊んでしまう場合は、ボウルに水をためてその水で洗ってもらうようにしましょう!
野菜をちぎる
- レタスなどの葉物野菜
- 皿
サラダに使うレタスなどの葉物野菜をちぎるお手伝いをしてもらいましょう!
服のボタンを留める、ファスナーを上げ下げするのに必要な指先の力を鍛えることができます。
パリパリとした音も聴覚に良い刺激となります。
にぎりつぶす
- ポリ袋
- お豆腐やひき肉などの食材
ポリ袋に入れたやわらかい食材をにぎにぎしながらつぶしてもらいましょう。
最初はお豆腐がおすすめです!
手をグーパーするだけでいいので子どもにも簡単にできるお料理のお仕事です。
直接食材に触れるのは2歳以降が望ましいです!
洗濯ものをカゴに入れる
- お出かけのあと
- お風呂に入る前
お出かけのあとに使ったハンカチやタオル、お風呂に入る際に脱いだ服などを洗濯カゴに入れてもらうお仕事です。
歩き始めたころや、おもちゃをポイポイ出し入れしたりするようになったらやってみましょう。
簡単なお仕事ですが、動きたい子どもにとっては楽しい作業です!
ゴミを捨てる
- ゴミがでたとき
ティシュなどのゴミをゴミ箱に捨ててもらいましょう!
大人にとってはなんてことのない動作でも、子どもにとっては目と手を連動させて動かす立派なお仕事になります。
2歳のモンテッソーリ教育のお仕事
何でも自分でやりたい!という自立心が強まる時期です。
ごっこ遊びや、おままごとなど、今まで見たり聞いてきた興味のあることを実際にやり始めます。
モンテッソーリ教育は、本物の体験を大切にしているのでおままごとだけではなく、積極的に実物に触れていきましょう!
たまごをとく
- ボウル
- 泡だて器
- たまご
たまごをぐるぐるかき混ぜる動作は、手首をコントロールする力を養います。
文字を書くときにも必要な力ですね。
最初はうまくできずにたまごが飛び散ったりしてしまうので、ぬれ布巾を下に敷いてボウルが動かないように工夫してみましょう。
こぼしたものを自分で拭いてもらうのも忘れずに!
パンにジャムを塗る
- パン
- バターナイフ
- 器に使う分だけ入れたジャム
子どもが自分で食べるパンにジャムを塗ってもらいましょう!
パン1枚だとやりにくそうな場合は、4等分に切ってみてもいいですね。
ジャムは、使う分だけをお皿に移してあげるようにしてください。
「使う分だけを取り出す」はどのお仕事にも共通します!
野菜やくだものの皮むき
- バナナ、みかん、玉ねぎ、とうもろこしなどの食材
- 皮を入れる器
皮をむくのには指先の力と集中力を要します。
皮をむいた野菜やくだものからの香りがいい刺激となり、子どもにとってはワクワクするお仕事です。
きのこをほぐしてもらうのもおすすめです!
ごまをする
- ごま
- すり鉢
- すりこぎ
- すったごまを入れる容器
プチプチとごまがつぶれる音、ゴリゴリとする手の感覚、香ばしい香り…
五感をめいっぱい刺激する楽しいお仕事です。
手首を使うトレーニングとしても最適です!
植物に水をあげる
- 鉢植えの植物
- じょうろ
子どもが自然に触れる環境づくりとして、観葉植物をおうちに用意して水やりをしてもらいましょう!
お水は一回に使う量をじょうろに入れます。
自然への好奇心が芽生えて、葉っぱの色などを観察するようになります。
大きな葉っぱの植物なら、小さく切ったぞうきんなどで葉っぱの表面を拭くお仕事もおすすめです!
窓を拭く
- 霧吹き
- ガラスワイパー
- ぞうきん
霧吹きで窓に水をかけガラスワイパーで汚れを落とします。
水に濡らしたぞうきんでもかまいません。
肩やひじの関節を固定しながら手首を動かす練習になりますよ!
ボタンとめ
- ボタンつきの服
最初は大きめのボタンの服でお手本を見せてあげましょう!
パジャマをボタンつきのものにするといいかもしれませんね。
できるようになるまで時間はかかるかもしれませんが、できたときの達成感は大きいものです。
3歳のモンテッソーリ教育のお仕事
顔を洗う、服を着る、歯を磨くなど日常生活でできることが増えてくる時期です。
集中力がついてくるのでお仕事に取り組む時間もどんどん増えていきます。
1人でできた!という成功体験をどんどん積んでいきましょう!
お米をとぐ
- 米
- ザル
- ボウル
ザルを上にしてボウルを重ね、そこにお米と水を入れてとぎます。
ザルを引き上げればお米がこぼれる心配がないので、子どもも安心してお仕事に取り組めます。
お米のつぶつぶとして感触は、子どもにはとても楽しいものです♩
テーブルを拭く
- 布巾
- 霧吹き
食事の前と後で布巾でテーブルを拭いてもらうお仕事です。
霧吹きで布巾を濡らすところからやってもらいましょう!
どこまで拭くのか、どのくらい拭いてきれいにすればいいのかを具体的に伝えてあげてくださいね!
ピーラーで皮をむく
- きゅうり、にんじん、大根などの野菜
- 小さめのピーラー
子どもが使いやすい小さめのピーラーを用意して野菜の皮をむいてもらいましょう。
固すぎず、やわらかすぎず、切り応えがあるきゅうりがおすすめです!
形成する
- ハンバーグのタネ
- おにぎり
手全体を使いタネを丸めてもらいましょう。
少し力が必要になりますが、おにぎりをにぎってもらうのもおすすめ!
もりつける
- トング
- 器
- サラダなど
サラダのもりつけは、トングを使うのがおすすめです。
そのときの手の動きは、ハサミや箸を使うときにも必要になります。
ほうきではく
- ほうき
- ちりとり
日常生活で使う頻度が減ってきているほうきですが、日常生活には欠かせないお仕事。
ごみを集める→ごみを滑らせてひき寄せる→ちりとりに入れる
という一連の流れで手首を使う練習になります。
積極的に取り組んでみましょう!
縫う
- 画用紙
- 糸
- 針
- 画鋲
モンテッソーリ教育では、布ではなく紙で縫う練習をします。
これが「縫い刺しのお仕事」です。
「穴を開ける」「糸を通す」「糸を切る」「糸を結ぶ」など、まずは大人がお手本を見せて、子どもがやりたい!と言い出したら挑戦してもらいましょう。
ハートや星など簡単な絵を画用紙に描いて、線の上を塗ってもらってくださいね!
お仕事を実践するための4ステップ
お仕事を実践する基本的な流れを紹介していきます!
子どもが好きそうなお仕事は、どんどん提案しながら誘ってみましょう!
大人のまねをする、大人が使っている道具を奪ってやりたがるなどの行動が見られたら、お仕事を始めるチャンスです。
モンテッソーリ教育は、子どもがやりたいことを尊重するので自発的にお仕事をやりたがるのを待ちましょう。
子どもの行動をよく観察して、お仕事のタイミングを計ってくださいね。
お仕事をはじめる前に、まず大人がお手本を見せます。
このとき、喋らずにゆっくりと動作を見せるのがポイント。
目と耳から同時に情報が入ってしまうと混乱して動きを整理することができないので、動作だけを見せてあげましょう。
ピーラーやナイフを使用するお仕事は「お手本を見ることができる」「約束を守れる」ようになってから始めてくださいね!
子どもの間違いや失敗は、なるべく見守るようにしましょう。
つい心配で口出ししたり手を貸してしまったりしたくなるかもしれません。
ですが、危険なことがなければ口は挟まずにぐっとこらえて我慢です!
先回りして間違いを教えるのではなく、子どもが失敗して自ら間違いに気づく経験を重ねられるようにサポートしてあげてください。
集中しているときも、むやみやたらと話しかけないようにしましょう。
片付けるまでがお仕事になります。
少しでもいいので、子どもにお片付けに参加してもらいましょう。
とは言っても、遊ぶだけ遊んで片付けない子どもに困っている方も多いと思います。
日ごろから物の置き場所を決めて片付ける、食事の前やお風呂の前などの行動の区切りで片付ける習慣をつけるなど工夫しながら、少しずつお片付けに誘ってみましょう!
お仕事で身につく「非認知能力」
ここまで、日常生活におけるお仕事の実践法をお伝えしてきました。
結局のところ、お仕事に取り組むことで子どもはどう成長していくの?
お仕事は、コミュニケーション能力、想像力、行動力、モチベーションの高さといった非認知能力を育てると言われています。
情報量や計算をするだけなら人間よりもAIの方がはるかに優れている時代。
子どもたちが大人になるころには、今よりも技術が進歩し働き方も多様化していくでしょう。
AIに取って代われないためには、人間だけが持つ「心」を育むことが今後求められると考えています。
数値化することのできない非認知能力を引き出すことがお仕事の最大の目的です。
では、お仕事によってどのような非認知能力が育つのか具体的に解説していきましょう!
自己効力感
「自分ならできる」「自分なら必ずうまくいく」といった、自分を信じる気持ちを自己効力感といいます。
自己効力感が高いと物事へ積極的に挑戦できるだけではなく、失敗したとしても「次はどうすればいいか」とすぐに失敗を受け入れながら前に進むことができます。
反対に、自己効力感が低いと「どうせ自分なんてできない」「どうせ失敗する」と挑戦する意欲が低下し、能力があったとしても結果を出すことができません。
自己効力感を高めるポイント
- 子どもが自己選択できる環境を作る
- できた!という成功体験を積む
- 他者からの「あなたならできる」という声かけ
たくさんの失敗と成功体験を積める日常生活のお仕事は、自己効力感を引き上げるのにとても効果的です。
学ぶ意欲と向上心と思考力
モンテッソーリ教育は、天才を育てることを目的とした教育法だとイメージされがちです。
ですが、実際には「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことを目的としています。
モンテッソーリ教育を受けたビルゲイツは、13歳からプログラミングに熱中し独学でBASICというプログラミング言語を開発しました。
学びたい意欲をとことん追求し学び続けた姿勢が、世界一の大富豪と呼ばれるまでの成功につながったのではないでしょうか。
学びは、「やってみたい、触ってみたい、知りたい」という興味から始まります。
子どものやりたがるお仕事には学ぶ意欲をぐんと伸ばす力があります。
自分で選択しやり抜く責任感
モンテッソーリ教育では「子どもが主人公」という考えのもと、自分で選択してやりたいことを決めることからお仕事が始まります。
子どもの「これがやりたい!」という意志は、「今この能力を伸ばしたい!」という成長の現れ。
自分で選び、決めたことはおのずと責任感が生まれ一所懸命取り組むことができます。
そして、最後までやり抜いた経験からまた次の意欲へとつながっていき、自分で考えて行動する力を生み出すことができます。
お仕事に取り組んでいくことで、指示待ち人間になることなく自分のやりたい道を切り開ける人間に成長していきます。
まとめ
今回は、モンテッソーリ教育のお仕事を紹介しました。
モンテッソーリ教育で大切にしているのが「日常生活」です。
お仕事は、子どもが自分で身の回りのことをできるようになるための活動で、私たちが普段当たり前のようにやっている日常のこと。
子どもは大人が思っているよりも、たくさんのことができます。
今できないのは、ただやり方を知らないだけ。
環境を整えて大人がていねいに教えてあげれば一人でたくさんのことができるようになります!
モンテッソーリ教育の日常生活のお仕事を通して、子どもが持つ能力を最大限に引き出し、発達の悩みを解決できるきっかけになれば幸いです!
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